和食を美味しく見せる盛り付けの基本ルール

もてなすひと:OMOTEWASHI.jp 編集部

お料理が美味しそうに見える大切な要素として「味」とともに「見た目」が重要であることはよく知られています。

まったく同じ料理でも、盛り付けの良し悪しによって食べたときの満足感は大きく変わるもの。特に日本の伝統的な料理である和食の盛り付けは「料理の一部」と考えられており、繊細な技術が求められます。

今回は「 和食を美味しく見せる盛り付けの基本ルール 」をテーマに、器の選び方から盛り付けの手法までをご紹介します。

料理の見た目を決める器の使い方

和食を美味しく見せる盛り付けの基本ルール

料理の盛り付けをするときにまず決めなければならないのが、料理を乗せる器です。

美食家・料理家で著名な北大路魯山人が残した有名な一節「器は料理の着物」の言葉の通り、器は料理を供すのに欠かせません。さらに、料理の味や香り、盛り付けなどを引き立てる大切な役割があります。

では、器を選ぶ際のポイントとはどのようなものがあるのでしょう? おおよそは「器の大きさ」と「器の色(柄)」の二つのポイントです。

まず、「器の大きさ」ですが、みなさんも経験ある飲食店でお料理を注文したとき、使われている器を見て「大きいな」と思ったことはありませんか?

実はお料理の盛り付けをする際、大切にされているのが「器の大きさ」を利用した”余白”なのです。

盛り付けをするときは、器の大きさに対して料理の量を控えめにし、大体3~6割以上の余白を空けるようにすると美しく見えるとされ、同じように汁物をお椀に入れるときも、汁物の量をお椀の高さに対して6~7分目くらいまでにしておくと、見栄えが良くなるといわれています。

では、なぜ余白は重要な効果を生むとされるのでしょう。料理と同じように余白が重要とされるデザインの視点で、その根拠をご紹介します。

  • 情報の干渉を緩和
    干渉緩和とはたくさんある情報同士の主張を緩め、和らげることです。
    全ての情報が「わたしを見て!」と主張しすぎると何が重要なのか、何を見せたいのか、が分かりにくくなってしまいます。
    余白がなくビッシリ詰まっていると目の休まるところがない上に、お互い無用な干渉もできてしまい「情報の認識の妨げ」にしかなりません。
  • 印象づけ
    余白が多いと高級感があるように見える、という話しはよく聞くと思います。
    実際に余白が少ないと「ぎっしり、賑やか、安さ etc…」的な印象があり、余白が多いと「高級、すっきり、余裕 etc…」な感じに見えるなど、デザインのコンセプトや用途によって使い分けられています。

例えば、スーパーのチラシなんかは情報量が多いのと安さや商品アピールをするため、最低限の余白しか空けていなかったりしていますよね。これとは反対に高品質な商品や伝統的なもの、シンプルにしたいデザインでは、たっぷりと余白とってたりします。

それ以外にも視線を誘導したり、余白の広さで「カテゴリー=区切り」のような情報の区切りのような役目にも余白は活用されます。

次に「器の柄」についてご紹介します。和食に使われる「和食器」の種類は、世界一とも呼べるほど多様です。

白をメインとした単色のものが多い洋食器に対し、和食器には景色や日本の動植物の文様が描かれているものが多く、季節ごとに使用する文様を使い分けたりすることもあります。以下に代表的な文様をご紹介します。

▶参考記事:『伝統文様の意味を知って、おもてなしに取り入れる

  • 唐子
    唐子とは文字通り、唐(中国)の子供を描いた文様です。唐子は江戸時代、長崎・平戸藩の御用窯である三川内(みかわち)焼でしか作ることを許されなかった伝統の図柄です。
    唐子は描かれる子供の人数によって器の格が定められ、七人描かれた「七人唐子」が最も格が高く、「五人唐子」「三人唐子」と続きます。
  • 龍田川(たつたがわ)
    流水に紅葉を配した文様を龍田川といいます。奈良県北西部を流れる竜田川は、紅葉の名所として有名です。和食器の龍田川文様はこの竜田川にちなんだ名称です。
    色とりどりの鮮やかな色彩でとても美しい文様です。秋の文様のためか温かみのあるざっくりとした土物の器に多色を用いて表現することが多いようです。
  • 捻文(ねじもん)
    捻文は縞を捻じることで文様に動きや変化が加わる縞文様の一つです。濃淡3本の筋で描くのが基本ですが、2本だったり、点々を加えたり、多種あります。捻文は捻じり加減に作者の個性や技量が現れる文様だといえます。
  • 網目(あみめ)
    ひっかけ網、玉網(たまあみ)、寄網(よせあみ)など網目のバリエーションが楽しめる文様です。商売の世界では「網」は福を「からめとる」「すくいとる」ものとして昔から喜ばれました。
    よくできた網目文様は、食器の内側と外側の網の糸がぴったり合っていて、器の底まで細かく網目が描いてあります。
  • 梅紋(うめもん)桜紋(さくらもん)花鳥紋(かちょうもん)
    梅紋は一般的に冬の文様ですが、季節にかかわらず好む人が多い柄です。桜紋は、華やかさの一方で、儚さも好む日本人の心に、ぴったりくる文様です。花鳥紋は、花と鳥の文様が器全体に描かれているわりにうるささを感じさせず、飽きが来ないのも特徴です。
  • 吹墨(ふきずみ)
    霧吹きで墨汁を吹き付けたかのように見え、それが水しぶきを連想させる夏向きの文様として重用されます。
    近年は絵付けが均一にできるのはスプレーが主流ですが、その昔は竹の管の端に細かい布を巻きつけて布に顔料を含ませ、一方の端から息を吹き込んで器に吹きつけ絵付けしていました。

これら文様は、余白を単なる余白で済ませないよう、創り手のこだわりを表現するためのアイテムとして利用されるとこが多いです。

そして、「器の色」に関して、料理の盛り付けでは「五色」を配色するとよいとされます。

和食の世界では「青(しょう)、黄(おう)、赤(しゃく)、白(びゃく)、黒(こく)」の五色が盛り付けにおける配色の基本色であるといわれており、5つの色の食材を使った伝統料理が数多く存在しています。

この五色に関する記事は、過去記事『からだとこころに良い「食の色」』に詳しく説明しているのでそちらを参照してください。

色がもつそれぞれ視覚効果を上手に使うことで、料理の盛り付けをするときにバランス良く配置すると見た目にも美しくなります。

和食の盛り付けの種類とポイント

和食を美味しく見せる盛り付けの基本ルール

和食で使われる盛り付けの手法にはたくさんの種類がありますが、今回はその中から代表的な盛り付け方と、盛り付けるときのポイントをご紹介します。がその前に、まずそれをお伝えする前に情報を見るときの人間の視線について少し触れておきたいと思います。

15世紀に活版印刷技術の発明者として活躍したヨハネス・グーテンベルグが「均一に配置された情報を見る時、視線は左上から右下に流れていくように習慣づけられている」という考え方を提唱しました。

その考え方は後にグーテンベルク・ダイヤグラムとしてまとめられ、デザインの世界では一般的な考え方になっています。グーテンベルグ ダイアグラムでは四つの象限に分けられます。

  • Primary optical area(一番重要なエリア): 上左
  • Strong fallow area(強い休閑エリア): 上右
  • Weak fallow area(弱い休閑エリア): 下左
  • Terminal area(終点エリア): 下右

視線の動きは左から右へ水平運動を伴って、下部へ移動します。そのため、重要な要素は上左と下右を結ぶラインに沿って配置すると効果的と言われています。

例えば、WEBデザインを例にすると、ロゴ、見出しなどは上左に配置し、画像や重要なコンテンツは中央に配置し、アクションボタンやコンタクト情報などは下右に配置します。

また、休閑エリアには視覚的に強調されるものを配置しない限り、注目は最小限になるとされます。これらはデザインの世界で定められたルールのようなものですが、実は和食の盛り付けでも同じ考え方でルールが定められています。

  • 基本ルール1.平盛り
    和食料理を平面的に並べる、比較的簡単な盛り付け方を平盛りと言います。
    大人数のお客様に大皿で刺身などを提供する際に、よく用いられている手法です。料理同士を密着させて並べるだけですが、彩りを考えながら数種類の料理を配置させるのが美味しそうに見せるコツです。色合いが似ている料理が隣同士にならないよう注意しましょう。
    さらに前述したとおり、左上を起点にして右下に「流れるように」盛りつけていくと落着いた感じになります。数人分を盛り込む場合、最初に左上から盛り始めてみて下さると、よい感じに盛れますよ。
  • 基本ルール2.流し盛り
    流し盛りは、お寿司やお刺身、卵焼きといった、同種同サイズの料理を盛り付ける際におすすめの方法です。
    単に並べていくのではなく、少し傾けて平面や断面を見せるのがコツで、左正面にするのが基本です。
    左上から右下に視線を移動させる人間の本能に習い、左上を起点に右下へ流れるように盛り付けると、ゴチャゴチャせずにスッキリ見せることができます。
    例えば、お寿司なら上部を左に傾けて、左上から右下に流して盛り付けます。何気ない基本ルールですが、この一手間で和食料理がグッと美味しそうに見えるから不思議です。
  • 基本ルール3.放射盛り
    正面を設定せず、左右対称に盛り付ける放射盛りは、比較的簡単に盛り付けられる手法となっています。放射盛りという呼び名の他、「四方盛り」「八方盛り」「東西南北」と呼ぶこともあります。
    器の種類は角皿よりも丸型の方が盛り付けやすいでしょう。まず器に目視で十字線を引き、線の端にカサが同じ料理を配置します。それから空いている空間を順に埋めていくだけで、放射状にきれいな盛り付けが完成します。

家庭ではどうしても盛り付けに失敗しがちです。和食の店で食べる料理との違いに何故なんだろうと思うでしょう。

理由は意外と簡単なことで、器に対して料理の量が多すぎることがほとんどです。

家庭料理ではある程度制約があることは仕方ありません、大人数の家族であれば器がいくらあっても足りなくなってしまします。しかし見た目にも美味しく感じる分量はご紹介したとおりなので、できれば大皿と取り皿を上手く利用するといいのではないでしょうか。

お椀の汁の量は器の6分目多くても7分目。他の料理でも3~6割の空間を空けてみて下さい。それでもし貧相に見えるときは「立体感」が無いまたは「配置が悪い」、盛り付けのルールに沿っていないからです。

和食が美しいのは、余白を使い、人間の視線を意識した、デザインにも通じる料理づくりをしていることなのだろうと考えます。少しだけデザイン感覚を意識することでワンランク上の料理に仕上げることができます。

記事で使われている道具
~「和紙の器」オモテワシケース~

「和紙の器」オモテワシケースは、すかし和紙をまとった美しく繊細な見た目でありながら、厚みのある食品用ポリエチレンシートを貼り合わせているため、安全性、耐久性、保形性に優れており、弁当箱の仕切りはもちろん、ワンプレートにのせる豆皿としても便利な品です。最大の特徴である高知土佐産のすかし和紙で演出される風合いと、柄ごとに取り揃えた和色のカラーバリエーションは、盛られた食材をそっと引き立て、おもてなしを視覚的に演出します。華やかな「和紙の器」オモテワシケースがあれば、秋の行楽ランチ、年末年始のパーティー、さらにお花見など、おもてなしのシーンがますます楽しくなりそうです。

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