かながわブランド、津久井在来大豆をもっと知ろう!

子供たちと一緒にかながわブランドを広める活動、かながわブランドキッズ特派員。第一弾で取り上げるテーマは、『 かながわブランド、津久井在来大豆をもっと知ろう! 』です。

戦前は神奈川県内の多くの農家が栽培していた『津久井在来大豆』ですが、その後輸入大豆に押され、「幻の大豆」と呼ばれるまで生産量が落ち込みました。幻の大豆と呼ばれている背景も含め、津久井在来大豆についてJAあつぎの担当者に伺いました。

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都市部ではお目にかかれない、幻の大豆

戦前は神奈川県内の多くの農家が栽培していた『津久井在来大豆』。輸入大豆に押され「幻の大豆」と呼ばれるまで生産量が落ち込みましたが、今では県内各地で『津久井在来大豆』を守ろうという取組みが行われ、2008年に「かながわブランド」に認定されました。

今回応対してくれたのは、JAあつぎ指導販売部営農指導課の小林晴樹さん。主に農家さんに農業の指導をされている、現場をよくご存じの方です。

-- かながわブランドに登録されている津久井在来大豆はいくつかの地域でありますが?

はじめは津久井が中心になって種子から選別検査を行い復活させた動きがありました。
その後、津久井以外にも厚木、秦野、相模原、湘南などのJAが手を上げ、津久井在来大豆を盛り上げようとブランド化しました。

-- 津久井在来大豆が厚木で作られた経緯を教えてもらえますか?

稲作りなどの他に畑作りが行われず、空いてしまっている農地の有効活用で何か別の作物が何かないかという動きから始まりました。
厚木ではニンニク栽培など他にもいろいろな野菜がある中で津久井在来大豆が選ばれました。

-- 他にもいろいろある中から津久井在来大豆が選ばれた理由は何ですか?

大豆は種をまくところから、大部分機械化が進んでいて、他の野菜より効率的に収穫できるメリットがあります。
大豆以外ではにんにく、里芋など候補がありましたが、昔から伝わる津久井在来大豆であればPRにも繋がりやすいのではないかということで選ばれました。

-- 津久井在来大豆は厚木など作られている土地では知名度がありますが横浜など大都市では残念ながらなかなかお目にかかれません。

そうですね、津久井在来大豆を作られている地域は、神奈川県の中でも比較的条件の厳しい山間部が多いです。
都市部に近い川崎、横浜など比較的好条件の場所ではあえて作られる農家さんはいらっしゃらいない。なので都市部に津久井在来大豆が出回らないということなんだと思います。

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-- 生産量が増える見込はあるのでしょうか?

厚木は新規就農の方が多くいらっしゃいます。新規の方たちへJAが斡旋する土地は、どうしても少し扱いにくいところになってしまします。その様な土地でも扱いやすく適している作物が大豆だったりします。
それによって一旦大豆の収穫量は増えるのですが、その方たちが農作業にだんだん慣れてくると大豆だけではなく、他の作物に手を拡げるようになり、結局大豆の収穫量が増えていかないのが現状です。生産者の高齢化も問題です。

また、厚木を含め神奈川県の農業は、都市型農業と言われ、土地の集積による効率化が進まないという問題があります。北海道のように辺り一面大根畑のような形態をとることは難しいというのも生産量を増やせないのも阻害要因です。

そのような状況を打開しようと、今JA厚木では大豆部会という有志が集まり津久井在来大豆を守り作ろうという活動をしています。

-- 大豆部会の活動を教えて頂けますか?

厚木大豆部会は35名の農家さんで構成され、情報を共有し生産面積及び収穫量のアップに励んでいます。具体的には、部会員同士の畑を回り、勉強会も開催しています。他の大豆品種と混ざらないようにしたり、肥料のタイミング、病害虫防除のタイミングなど、様々な作業や知識の向上に取り組んでいます。

さらに、部会員自ら、津久井在来大豆を栽培、出荷、販売、場合によっては自家製の味噌も作ったりして、津久井在来大豆をもっと多くのひとに知ってもらい、消費の拡大を目指しています。

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他の大豆にはない、強い甘みが特徴

-- 大豆からできる加工品はどのような商品がありますか?

もともと大豆を楽しんでもらうことを目指したものなので、大豆本来の味が楽しめる商品を作っています。JAあつぎのオリジナル商品は蒸し大豆、それ以外には市内に豆腐や味噌などをつくる店舗へ原料として卸しています。あとは津久井在来大豆をより楽しんでもらうために枝豆も限定的に販売しています。

-- 津久井在来大豆はとても甘みが強いといわれています

そうですね、他の在来種と比べても相当甘みが強いと思います。大豆だけで食べても豆腐などの加工品でも甘みをとても感じられます。
成分的にも、タンパク質38%、ブドウ糖21%、脂肪18%で、タンパク質が低く、他の大豆よりもブドウ糖が高い傾向にあります。なので加工品の味はよく、味噌は色上がりが綺麗で、豆腐はコクがあると言われているようです。

-- 聞くところによるときな粉がとても美味しいとか。

はい、農家さんの中では自分のところで作った大豆で業者委託し、販売している農家さんもいらっしゃいます。 先日きな粉餅を振る舞うイベントがあった際、砂糖の量を通常よりかなり減らしても十分甘かったという感想を頂いています。

-- その甘みを活かしたものはどのような食べ方がいいですか

そのまま蒸して食べるのが一番美味しいと思います。例えばそのままサラダや煮物、スープなどに入れてみると大豆本来の味が楽しめます。
それ以外ではやはり、豆腐や味噌がおいしいですね。まずは、蒸し大豆で津久井在来大豆のおいしさを認識してもらいたいと思います。

-- 津久井在来大豆を購入しようとした場合、どこで買うことが出来ますか。

今は需要が生産量よりかなり上回っていますので、収穫された大豆はほぼ厚木市内で消費されてしまいます。同じように他のJAさんでも同様に自分たちのエリアで消費されてしまっています。
なので、残念ながら市外のお客さまには、ネット販売以外では届けることができません。限定されてしまいますが確実に購入できるのは、JAあつぎファーマーズマーケット「夢未市(ゆめみいち)」になります。こちらはJAの直営店になりますので、大豆やその加工品などを購入できます。

-- 今日伺ったことを3月22日のイベントで子どもたちに伝えようと思っています。農家さんは津久井在来大豆をどうしていきたいですか

子供たちもそうですし、色んな方に食べて欲しいです。消費者にとって安心安全に栽培されている、伝統ある津久井在来大豆を知ってもらいたいです。他の品種と比べて甘みが強く、味の良さには自信があるということを多くのひとに知ってもらいたいです。

▶ 夢未市はこちら→  https://www.ja-atsugi.or.jp/yumemiichi/

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津久井在来大豆に込められたの想いとおいしさを伝える

今日のお話を伺って分かったことは、二つあります。

一つ目は、津久井在来大豆はやはり「幻の大豆」と言われるように、希少で甘くておいしいものだということです。
それには生産者の現状や、農地の使い方の事情が関係していました。この大豆にもっと付加価値が付けば、大豆をもっと生産しようと言う農家さんが増えるかもしれないなと思いました。

二つ目は、生産者さんたちが、もっといろんな人に津久井在来大豆を食べてほしいと思っていることです。
現状では、厚木で作られた大豆は、ほぼ厚木で消費されています。それはとてもよいことではあるのですが、一方で、もっと多くの方に津久井在来大豆のおいしさを伝えたいという想いももっていらっしゃいました。

これらのことを踏まえて、3月22日のイベントでは、『津久井在来大豆が他の大豆と比べてどのくらい甘いか』を糖度計を使って調べたいと思います。それと『津久井在来大豆の甘みを活かしたお料理のつくりかた』もお伝えしたいと思います。

次回、3月22日のイベントでは、かながわブランドである津久井在来大豆の素晴らしさと生産者さんの想いを届けて、もっとたくさんの消費者に『津久井在来大豆』のことを知ってもらいたいと思います。

かながわブランドキッズ特派員のみんなにも、”調べてつくって食べてもらい”、そのおいしさを一緒にたくさんの人にお知らせしましょう!

※3月22日のイベントはコロナウィルスの影響により延期します。

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