入れ方と道具を知って、家でのお茶時間を豊かに

入れ方と道具を知って、家でのお茶時間を豊かに 過ごしてみませんか。

国内はもちろん海外でも大きなブームになっている日本茶。特に抹茶は、ここ最近「抹茶」と名の付く商品が街中に溢れ、その人気の高さがうかがい知れます。日本食同様、健康に良いとされていることが多くの人に親しまれているのでしょう。

日本茶のある日常で心も体も健康になるための情報をお伝えします。

入れ方と道具を知って、家でのお茶時間を豊かに

お茶の種類で変わる、効能と淹れ方

よく飲まれる日本茶の代表的なものとして、緑茶とほうじ茶があります。緑茶は茶葉を「蒸す」「揉む」「乾燥させる」の3つの工程からつくられ、さらにこの後「焙煎する」工程が加わることでほうじ茶になります。

緑茶とほうじ茶、同じ茶葉からできていますが、工程が一つ加わることで、別のお茶になり主な成分や効能も変わるんです。緑茶はカフェイン、カテキンが豊富に含まれ、ほうじ茶はこれらの成分の含有量が緑茶に比べ少なく、テアニン、ピラジン等が多く含まれるようになります。

緑茶に含まれる主なカテキンは二種類で、エピガロカテキンガレートとエピガロカテキンです。エピガロカテキンガレートは「アンチエイジング」の効果が期待され、80度ぐらいのお湯で茶葉から一番多く抽出されます。エピガロカテキンは、「免疫機能アップ」の効果が期待され、10度以下の冷水から抽出され、水出しや氷水出しした煎茶に多く含まれています。

ほうじ茶に含まれる、ピラジンは「リラックス効果」が期待できるほか、血液サラサラ効果や、血行を良くし冷えの改善、疲労回復などの効果があります。このピラジンを引き出しその効果を最大限に得るためには、沸騰させた熱湯(95度程度)で一気に淹れると香りを引き出し、おいしくできあがります。

また、玉露などに多く含まれるテアニンは、アミノ酸の一種でお茶のうま味や甘みの成分になります。「リラックス作用」や「血圧上昇抑制効果」など期待され、50~60度のお湯で淹れるとされています。

主な成分 主な効能
淹れ方
煎茶
(暖かい)
エピガロカテキン
ガレート
アンチエイジング
80度ぐらいのお湯で
抽出
煎茶
(冷たい)
エピガロカテキン
免疫機能アップ
0度以下の冷水から
抽出
ほうじ茶
ピラジン
血液サラサラ
95度ぐらいのお湯で
抽出
玉露 テアニン
リラックス効果
50~60度のお湯で
抽出

さらに、お茶のもう一つの魅力である香り。この香りにも優れた効能があります。お茶に含まれる主な香り成分は、約300種類あるといわれ、その中で特に特徴的な香りは「青葉アルコール」「リナロール」「ゲラニオール」があります。

  • 青葉アルコール
    植物特有の青臭い香り。気持ちをおだやかにするリラックス効果や疲労回復の効果もあります。青葉アルコールはアロマオイルにもよく使われており、匂いを嗅ぐと、作業効率が落ちにくくなるそうです。
  • リナロール
    スズラン、ラベンダー、ベルガモットに含まれる香り。アロマオイルの世界ではリラックスの代名詞「イランイラン」「ネロリ」「ラベンダー」などにも含まれる成分で、鎮静、血圧降下、抗不安作用があります。
  •  ゲラニオール
    バラのような香り。ローズオイルの主成分となっており、抗菌、抗不安、皮膚弾力回復などの働きがあります。また、女性ホルモンの分泌に関わりの深い物質で、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌を助けます。

いかがですか?味も香りも楽しむことが出来る日本茶。その効能を知り、朝起きたときや食事の後、お風呂上がりなどのシチュエーション別に、さらに自分の体調に合わせてお茶の優れた効果を積極的に取り入れましょう。

入れ方と道具を知って、家でのお茶時間を豊かに

お茶の道具選び

どうせなら「おいしい日本茶が飲みたい」ですよね。それならば道具にもちょっぴり気を配ってみましょう。同じ茶葉でもお茶を淹れる道具によって味は変わります。日本茶をおいしく手軽に楽しむために、最初に揃えておきたい基本の道具をご紹介します。

  • 急須
    急須はおいしいお茶を淹れるときには、かかせない道具の一つです。お茶の種類によって淹れるお湯の量や温度が違うのでおいしいお茶を淹れるためには、そのお茶にあった急須の選び方が大切。
    上級煎茶や玉露など少量のお茶を楽しむ場合は、持ち手が横の横手型の小さめな急須の方が茶葉の旨みを凝縮させるのに適しています。逆に熱々でタップリのお湯で淹れても美味しいほうじ茶や番茶は、火傷しないように急須の上に持ち手がついた上手型がおすすめです。
    少ない人数分しかいれないのに大きな急須を使うと、茶葉がお湯にしっかりと抽出されず、せっかくいれたのにおいしさが半減してしまうこともありますよ。
    また、お茶の種類によって茶葉の細かさが異なります。深蒸し煎茶は、茶葉も細かく茶こしの網目が粗いものだと、目詰まりを起こしてしまうことがあります。茶こしの場合は、お湯の中で茶葉が対流しやすい大きなものを選ぶのがポイントです。
  • 茶碗
    茶碗は、お茶によって適した大きさや形、素材がたくさんあります。茶碗によって味や香りの違いが出るので、ある程度は使い分けましょう。
    一般的にお湯の温度が比較的低い玉露や上級煎茶は薄手の磁器製のもの、熱々を楽しむほうじ茶や番茶、玄米茶はやや大きめで厚みのある陶器製の茶碗が向いています。

    記事:日本の伝統工芸品「陶磁器」〜陶器と磁器の違いとは〜

    さらに茶碗選びはお茶をどの様に楽しみたいかを思い浮かべるとより適した茶碗が見つかります。香りを楽しみたいなら口の広い茶碗、お茶のキレイな緑色を楽しみたいなら白い茶碗、熱々を楽しみたいなら陶器の筒茶碗、といったようにお好みの特徴を引き出す選び方をするのもお茶の楽しみの一つです。

  • 茶託とコースター
    茶托とは、お茶の入った器の下に敷く受け皿です。普段、自分でお茶を飲むときには使わないという方も多いかもしれません。茶托にはおもてなしの意味も込められています。
    ステンレス、鉄、銅、アルミ、陶器、磁器、合成樹脂など素材の種類は種類はさまざまです。また、茶托には保温性があり、テーブルの温度でお茶が冷めてしまうのを防いでくれます。季節や相手の好みに合わせて使い分けをしていきます。
    コースターは、グラスマット、コップ敷きなどとも呼ばれています。飲み物の入った器の下に敷くという点では茶托との違いはありません。
    基本的には冷たい飲み物の下に敷くものがコースターと言われています。コースターがなければ、テーブルが水滴で濡れてしまう、これを避けるために使われるのがコースターです。
    コルク、布、紙、シリコン、木など、こちらもさまざまな種類があります。一般的な使われ方を見ていくと、茶托とコースターの違いは、飲み物の温度?と考えてしまいますが、そうではありません。カフェなどでは熱い飲み物を入れたマグカップの下に布のコースターを敷いてサーブされることもありますよね。
    湯呑みでお茶を出す場合には、茶托が基本です。イメージやバランスを考えることも大切です。器のデザインや形によって、合わせる茶托やコースターを選ぶようにしましょう。

さらにもう一つ、道具ではありませんがお茶の保管方法について触れたいと思います。
お茶本来の美味しさを味わうことができる期限は、約2週間が目安とされています。その間は密封できる缶に移しかえ置き場所に気を配りましょう。

温度の高い所や直射日光のあたる場所、湿気の多い場所や温度差の激しい場所は避けてください。また、冷蔵庫での保存はなるべく避けたほうがよいです。お茶は他の匂いを吸収しやすく、他の食材の匂いが移ってしまうことがあるからです。

それでも飲みきれない場合は、冷凍庫での保管がお薦めです。ただ、いったん取り出したら再び冷凍庫に戻さず、そのまま使い切って下さい。

いかがでしたか。お茶の知識と淹れかたの基本をマスターすれば、自分好みのお茶で豊かな時間を過ごすことができます。また、お客さまへのお茶だしもTPOをわきまえればさほど気にする必要はないでしょう。

お客さまにお出しするお茶は、のどの渇きを癒していただきほっとしていただく「おもてなしの心」が込められています。型にはまったおもてなしをするより、あなたなりのお茶だしでおもてなしをしてはいかがでしょう。きっと相手へその気持ちがきっと伝わりますよ。